全日プロ表彰式＆祝賀会

　６月３０日（金）東京會舘にて、全日プロの表彰式＆祝賀パーティーが行われました。その模様をレポートします。

　ある日、東京會舘の静かなロビーで、扇子を片手に、棋聖戦がどーのこーの、羽生さんがどーのこーのと、実に怪しい会話を交わしていた面々。それは、私設谷川応援団の、棋界雀さん・ジュノミさん・りーなさん・ねこじゃらしの４人です。
　お昼近くになったことを確かめて、私達は少し緊張しながら、エレベーターへ乗り込みました。

　１１階へ到着し、扉が開くと、なんと紋付き袴姿の谷川先生が、真っ先に視界へ飛び込んできました。会場入口で、出席者を出迎えていらっしゃるのです。私（ねこじゃらし）はもうドキドキで、体は５センチほど宙に浮き、心拍数は３００に達していました（笑）。

　受付で記帳しながら心を鎮め、改めて谷川先生の前へ進みます。
　「おめでとうございます」と、ひとりひとりがお祝いの言葉を述べ、谷川先生はひとりひとりに「ありがとうございます」と、丁寧にご挨拶をして下さいました。簡単な儀式なのにとても緊張しましたが、同時に、とても嬉しい一瞬でもありました。

　会場は、一つの宴会場を屏風で二つに分け、手前の部屋が表彰式の会場です。
　二上達也会長、原田泰夫九段、丸田祐三九段、大内延介九段、勝浦修九段、淡路仁茂九段、青野照市九段など錚々たる顔ぶれが揃う中、全日プロ準優勝の岡崎洋五段の姿も見えます。

　表彰式はまず、主催社である朝日新聞社と、将棋連盟（二上会長）の挨拶で始まりました。
　そして、谷川先生の友人代表ということで、日本健康麻将協会代表の井出洋介氏が「麻将（マージャン）のジャンの字は、将棋のしょうの字と同じなのが嬉しい。同じ知能を使うゲームのプレイヤーとして、谷川さんの活躍は励みになります。」と、祝辞を述べました。

　表彰状や賞金の授与があり、最後に谷川先生の挨拶です。　

「……私も３８になりまして、来年の秋には勤続２５年という表彰を受ける形になり、もうベテランの域に達しつつあるんですけれども、これから４０代５０代になっても長く活躍し続けるためには、将棋ファン、そして将棋界に影響を与えるということはもちろんですが、それだけではなく、やっぱり社会全体に、私が将棋を指すことで影響を与えるということが非常に大事だと思いますので、そのことがやはり息長く活躍するための大きな条件だと思っております。どうぞ今後ともよろしくお願いいたします。本当にありがとうございました」

　谷川先生の言葉に感動しながら振り返ると、一番後ろの列に座っていた私達のさらに後ろで、米長邦雄永世棋聖が立っていらっしゃいました。式の間ずっと米長先生を立たせていたことに恐れおののきながら、私達は、屏風の向こうのパーティー会場へと移動したのでした。（^^;

　祝賀パーティーは、谷川先生の師匠である若松政和七段の乾杯の音頭でスタート。和やかな雰囲気の中、谷川先生へお祝いの声を掛ける人が次々にやってきます。私達も、ここはひとつ勇気を出さねば！と、タイミングを見計らい、思いきって”前進”しました。

　「おめでとうございます。ねこじゃらしです」とご挨拶すると、
谷川先生は開口一番、

「あぁ……どうもありがとうございます。実はよく見てるんですよ（笑）」。

　メンバーそれぞれのハンドルネームを紹介すると、十分にご存知の様子。

　谷川先生は、このＨＰをしょっちゅう見て下さっているそうです。でも、それを言ってしまうと、ファンの人達の発言が遠慮したものになってしまうのではないかと、心配していらっしゃるのです。
　うぅ・・・なんという細やかなお心遣い（感涙）。私達は、もうすっかり感激してしまいました。

　お祝いとして持参したメッセージ集は、この時にお渡ししました。谷川先生は、ちょっと驚いていらっしゃったようです。

　しばらく歓談した後、出席者を代表して、原田泰夫九段と青野照市九段の祝辞がありました。

　原田先生は、ご自分が若い時から連盟会長を務めたことを引き合いに出して、谷川先生に「ぜひとも次期会長をやってもらいたい」とのお話。突然の指名に、谷川先生は苦笑いをなさっていました。

　青野九段は、第１局の立会人だったこともあり、決勝を戦った岡崎五段を激励。
　「岡崎五段は、初の大舞台ということで緊張していたようだが、今回の経験を生かして、これからも頑張ってほしい」とおっしゃっていました。

　さて、今回のパーティーでは、思いがけないプレゼントがありました。全日プロの記念扇子。歴代の優勝者が名前を揮毫したもので、非買品です。

　司会者に、欲しい人は前に出て下さいと言われ、真っ先に歩み出た私達（笑）。
　始めは、谷川先生とじゃんけんして勝った人がもらえるとのことでしたが、数が間に合って、希望者全員が手にできました。

　そんなこんなであっという間に時間は過ぎ、パーティーはお開きに。

　私達は、なんとかお話をしようと、米長先生のもとへ。すると米長先生は、谷川先生とのツーショット写真を撮るように私達へ命じ、こんな写真ができあがりました。

　ここまで谷川先生はずっと立ちっぱなしでした。ようやく一息ついてテーブルに着かれたのは、人影がまばらになった頃です。
　私達も会場を後にしようと、宴会場の出口から、部屋の奥の谷川先生へ会釈をしました。すると谷川先生は、食事を中断して、私達の方へと歩いていらっしゃるではありませんか！
　「ありがとうございました。これからもよろしくお願いいたします」
　そうやってわざわざ見送って下さったことに、私達は、ただただ感無量と言うしかありませんでした。
　谷川先生、本当にありがとうございました！

第18回全日本プロ将棋トーナメント表彰式